2016年4月30日土曜日

【映画】美しい絵の崩壊

原題:Two Mothers 
2013年 オーストラリア、フランス 
監督:アンヌ・フォンテーヌ 
脚本:クリストファー・ハンプトン、アンヌ・フォンテーヌ 
出演:ナオミ・ワッツ、ロビン・ライト、ゼイヴィア・サミュエル、他 

オーストラリアの海辺の町に住む女ふたり。子供の頃から仲が良く、結婚してお互い18歳になる息子がいる今も、親友同士。ひとりの夫は数年前に事故死しており、もうひとりの夫は、仕事でシドニーに行くことになる。それをきっかけに、女たちはお互いの息子と関係を持ってしまい、その後それぞれのカップルは真剣に愛し合うのだった。 

何枚もの美しい絵が、崩壊しながらも、最終的には完成する映画。 
最近の女性は40~50代になっても美しいままの人が多く、そんな人と毎日のように海に行ったりしていたら、18歳の男の子が憧れたり性的関心を持ったりするのも無理はない。一方、女の方も、若くてたくましいイケメン男が近くにいたら、フラフラと吸い寄せられるのも無理はない。 
その結果、親友同士であるの中年女が、お互いの息子と関係を持ってしまう。しかもそれは一度だけでは収まらず、それぞれが真剣に愛し合ってしまうから、さあ大変である。 
いや、考えてみればひとりは未亡人なのだから、不倫でもなんでもない。もうひとりの方は夫がいるが、夫とは別居することになりその後離婚するのだから、この時点で不倫ではなくなる。 
しかし問題となるのが、世間体。40代の女が、生まれたときから知っているそれぞれの息子と愛を交わすというのは、どう考えても世間体が悪い。 
さらにもっと問題なのは、年の差である。この点については、女たちはさすがに年の功で、そのうち相手に若い女の恋人ができるだろう、そのときには身を引かなければならないだろうと考えている。分別があるのだ。 
しかし理性ではわかっていても感情は制御できない。それでも男たちにそれぞれ若い恋人ができ、結婚するに至っては、良いおばあちゃんになろうと努める。しかし・・・ 
二転三転する話の展開は面白かった。最後はどうなっちゃうんだろうという興味でぐいぐい引き付けられた。 
監督が女性なので、中年女の夢を描いた映画という評もあるようだが、マザコン男の夢を描いた映画という見方もできるだろう。 

極私的三段階評価:○